新人時代の「登場人物」と職場環境まとめ|倉庫みたいな部屋から生産技術キャリアが始まった話

生産技術のリアル

▶ 新人時代シリーズ(全6回)
① 座学・製造実習で感じたこと(4~9月)
② 加工メーカー実習で学んだこと(10~11月)
③ 初仕事!設備組立(12~1月)
④ 設備初立ち上げ(2~3月)
⑤ 新人時代の総集編

⑥ 新人時代の職場環境(人・居室)← 今ここ

新人の頃って、「どんな仕事をしたか」以上に、
どんな人たちと、どんな空気の職場で過ごしたかが印象に残っている気がします。

今回は、私が生産技術エンジニアとしてキャリアをスタートさせた
1社目の職場環境と、そこで一緒に働いていた人たちについて、整理してみます。

少しでも、生産技術のリアルな職場の雰囲気が伝われば幸いです。


■鬼のように残業する上司

まずは、当時の直属の上司から。

係長(40代後半)
毎月のように残業100時間超えが当たり前。
それでも疲れた様子を見せず、性格は明るく、面倒見がいいタイプでした。
仕事量はエグいのに、部下にはしっかり声をかけてくれる――
そんな、私にとって“初めての上司像”を作ってくれた人でした。

課長(40代前半)
この人も残業は余裕で100時間超え。
ただ係長とは真逆で、おとなしくて優しいタイプ。
独身で、仕事が趣味なんじゃないかと思うほど、会社にいる時間が長い人でした。

部長(40代後半)
見た目は優しそうなのに、実は**「静かに刺すタイプ」**。
普段は柔らかい雰囲気なのに、打ち合わせになると目つきがガラッと変わる。
怒ると本当に怖くて、「あ、この人を怒らせたら終わる……」と
新人ながらに直感していました。

当時は、まだ**「残業=頑張っている」**という価値観が色濃く残る時代。
夜20時を過ぎても、ほとんどの人が普通に残っていました。
入社してすぐの私は、
「やばいところに来てしまったかもしれない……」と内心ビビっていました。

これでも“一昔前よりは早く帰っている”らしく、
日付が変わっても誰かしら仕事をしているのが当たり前だったそうです。
本当に時代を感じます。

ただ、そのくらい働いていたからこそ、
今の生産技術の基礎を築いた世代なのだとも思います。
あの頃の上司たちは、今振り返っても本当に優秀なエンジニアばかりでした。


■100人規模の部門と、スカスカな中間層

組織規模は部全体で約100人。
その中に課が4つあり、

  • 機械系:3課
  • 電気系:1課

という構成で、1課あたり25人ほどでした。

ただし年齢構成は極端で、
40代後半~50代が圧倒的に多く、その次に20代が多いという、
典型的な“中間層が抜けている組織”。

そのため若手は貴重な戦力としてかわいがられる一方、
親子くらい年の離れた人と仕事する機会が多く、
飲み会でも現場でも、不思議な距離感の中で過ごしていました。

同じ課の先輩はというと、

  • 1つ上の先輩:優秀だけどちょっと変わっているタイプ
  • 3つ上の先輩:とても優秀で、将来出世するだろうと思えた人

この先輩たちの仕事ぶりや考え方は、かなり参考になりました。
その上の世代はいきなり40歳前後になるので、本当に中堅が少ない職場でした。
3つ上の先輩は実際に出世していて、出世している人は若手の頃から、
そういう雰囲気があるのだと思います。

若手はだいたい“いじられる枠”で、
良くも悪くも昭和風の職場文化が色濃く残っていました。


■派遣社員とフリーランス設計屋さんの存在

1社目では、派遣社員が全体の2〜3割ほど。

ただ、よくあるような「正社員と派遣で壁がある職場」とは違い、
優秀な派遣の方々がほぼ正社員と同じポジションで働いている印象でした。

一部の派遣の方は本当にレベルが高く、
「雇用形態って何だろう?」と思うほど頼りになる人もいました。
正社員より危機感を持っている分、仕事の質も高かったと思います。

そして忘れてはいけないのが、
フリーランスの機械設計の外注さんの存在です。

部に1人だけいたこの方は、とにかく技術力が高く、
仕事の進め方もスマートで、
「こういう働き方もあるのか」と若い私に大きな衝撃を与えました。

ある時、
「なぜフリーランスとして働いているんですか?」
と聞いたところ、

俺は会社員は向いてないんだわ

と言われました。当時は理解できませんでしたが、
今はその意味がよくわかります。

この外注さんとは退職後も関係が続き、
今でもたまに飲みに行く仲です。
先日飲んだ時も、

お前も会社員は向いてないな

と言われました。笑
今では、私が目指す働き方のロールモデルになっています。


■「オフィス」というより、ほぼ倉庫

職場の環境も独特でした。

生産技術の居室は、
いわゆる“きれいなオフィス”という感じではなく、
ほぼ倉庫のような部屋

天井は低く、棚や部材が並び、
「作業場に机を並べたスペース」という雰囲気でした。

居室のすぐ隣には
設備の組立・調整専用スペースがあり、
ほぼ設備メーカーの作業エリアのような場所。

  • デスクで図面を見る
  • 隣で設備を組む・調整する

この行き来をしながら仕事をする日々は、生産技術らしい環境だったと思います。

のちに記事にしますが、3社目の職場は完全にオフィス型で、
現場が近くになく“すぐ設備を触れない環境”でした。
その経験を踏まえると、
フラッと設備を見に行ける距離感は、かなり重要だと感じています。


■新人の私がこの環境で感じていたこと

そんなこんなで、

  • 鬼のように残業する上司たち
  • 年齢構成が極端な100人規模の部門
  • 派遣・フリーランスが自然に混ざる現場
  • オフィスというより倉庫に近い職場環境

こういった環境の中で、
私は生産技術エンジニアとしての1年目を過ごしていました。

当時はとにかく目の前の業務に必死で、
「いい環境なのか?」なんて考える余裕はありませんでしたが、
今振り返ると、

  • 生産技術という職種のリアルな空気感
  • さまざまな雇用形態・年代の人たちとの働き方
  • “鬼残業時代”の価値観の中で働くしんどさ

これらを一気に体験できたことは、
その後のキャリアにとって間違いなく大きな財産になったと思います。

✨次回

次回は、2年目の業務(主担当として初めて任された業務)について書こうと思います。

▶[次回:2年目|主担当として初めて任された業務]
▶[前回:新人時代まとめ(新人時代総集編)]

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[関連記事:加工実習で学んだこと(新人10〜11月)]
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[関連記事:新人生産技術エンジニアの設備初立ち上げ(新人2〜3月)]

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