新人時代②(10〜11月)― 加工メーカー実習で学んだこと

生産技術のリアル

▶ 新人時代シリーズ(全6回)
① 座学・製造実習で感じたこと(4~9月)
② 加工メーカー実習で学んだこと(10~11月)← 今ここ
③ 初仕事!設備組立(12~1月)
④ 設備初立ち上げ(2~3月)
⑤ 新人時代の総集編

⑥ 新人時代の職場環境(人・居室)

入社して生産技術の配属が決まったあと、私は約2か月間、
配属先が普段から取引している外部の加工メーカーさんへ実習に行きました。
目的は 「いい設計が出来るようになるため、加工の知識を身につけること」

今考えると、この2か月は私のキャリアの中でとても貴重な経験でした。
今まで出会ってきた生産技術エンジニアで、加工実習に行ったことがあるという
エンジニアはあまり出会ったことありませんから。
やっぱり聞いただけの知識と体感するのでは全然違うと思います。


■ 加工メーカーでの実習が貴重すぎた理由

当時の私は「設計未経験」。
図面も大学の講義で少し触れた程度で、
正直…加工の知識がどう設計に役立つのか、まだぼんやりしていました。

真面目に大学で勉強していた方は、設計/加工の知識はもう少しあるかと思いますが、
私は全然真面目に勉強していなかったので。。
(それでも、それなりのエンジニアにはなれました。笑)

余談はさておき、部品がどういう順序で作られていくかを知らないと、
めちゃくちゃな図面を書いてしまうわけです。
加工の出来ない形状、無理な精度・・・こういうのは加工を知らないと「なんで作れないの?」
となってしまいます。

のちに、会社に入って初めて図面を描くことになるのですが、
頭の中で「ここはこうやって削って作るんだな」と理解しながら設計が出来るようになりました。
これは、加工実習に行っていなければ出来なかったことです。
めちゃくちゃな図面を描いてしまうと、部品も高額になり設備コストも上がってしまいます。
(そもそもそんな図面、上司が承認してくれませんが。。)
このような知識を設計をする前に身につけられたので、とても貴重な経験だったと思います。


■ ひたすらヤスリ…手にマメができるスタート

実習の最初の1週間は、
ずっと金属部品のやすりがけ。

特に 金属の円弧(R部)をフラットにする作業 が地獄のようで…
光明丹(こうみょうたん)で平面を確認しながら
“まだダメ、もっと平面に” と永遠に続く毎日。
当時教えてくれた先生(当時今の私と同じくらいの年齢)は、
若いときは何ヶ月もこれをやったとおっしゃっていました。

でも、この苦労が
「精度ってこうやって作られるんだ…!」
と実感できた瞬間でもありました。


◆ 加工機を触るのが楽しかった♪

2週目以降は少しずつ加工機を使わせてもらえるようになり、

  • ボール盤
  • フライス盤
  • 旋盤

などの基本操作を教えていただきました。

自分の手で金属を削って、
図面どおりの形に近づいていく瞬間は本当に楽しかったです。

部品が完成したときの達成感は、今でも忘れられません。
改めてモノづくりが好きなことを実感しました。


■加工屋さんから教わった「良い図面・悪い図面」

実習先の方々は本当に親切で、
加工者の目線からたくさんのリアルな意見を聞かせてくれました。

  • この記号の書き方だと見づらい
  • この指示じゃ加工できない
  • この材料はコストが高い
  • もっと段取りしやすい形があるよ

極めつけは…
実習中、たまたま自社の図面を加工していた方がいて、
「この図面、見にくいね」 と言われてしまったこと。

この一言が胸に突き刺さり、
「恥ずかしい図面を書いてはいけない」
と強く心に刻みました。


■ 実習で出会った“先生”とのその後

加工メーカーで担当してくれた先生は、
その後 独立してフリーランスの加工屋・組立屋・仕上げ屋 として活動されることに。

私は1社目を辞めた後も数年に1回会う仲で、
今でもとても尊敬している存在です。

フリーランスを目指す今の私にとっても、
素晴らしいロールモデルの一人。
落ち着いたら、改めて話を聞きに行きたいと思っています。


■ 他の加工現場も見学できたのが大きかった

実習中には、他の加工メーカーにも連れて行っていただき、

  • 大物加工
  • 板金加工

など、さまざまな加工の現場を見学できました。

今はYoutubeでいろんな機械が見られる時代ですが、
当時は現場へ行かないとなかなか見られなかったのでいい経験をさせていただきました。


■ まとめ:設計者は絶対に加工を知るべき

2か月の加工実習は、
生産技術としてだけでなく、
後の私の設計スキルにも大きな影響を与えてくれました。

  • 図面の描き方の意識
  • 加工しやすい形状
  • コストの観点
  • 精度を出す苦労

この全ての基礎が、ここで身につきました。

いま振り返っても、
「行って本当によかった」と心から思う時間でした

※こちらで学んだ知識はまたいつかブログに上げたいと思っています。

✨ 次回

次回は、いよいよ配属!
最初の業務は設備組立!!
配属後の新人生産技術エンジニアの当時のリアルを書いていきます。

▶[次回:新人時代③/生産技術エンジニアの配属直後(新人12~1月)
▶[前回:新人時代①/製造実習で感じたこと(新人4〜9月)]

コメント

タイトルとURLをコピーしました