新人時代①(4〜9月)― 座学・実習で感じたこと

生産技術のリアル

■ 入社直後(4〜6月)― 座学と研修の日々

新卒で電機メーカーに入社して、最初の3ヶ月は座学中心の基礎研修が続きました。

学んだ内容は、
・社会人としての基本マナー
・創業者の歴史
・家電製品の基礎知識
・実技系(電動工具の使い方など)

電話の取り方やタクシーの乗り方(座る順番)なども教わり、
「社会人とは?」「メーカーとは?」を叩き込まれた時期でした。

電動ドライバーでネジ締めの研修では、同期の中で一番早かったのを覚えています。笑
(今思うと、ここから生産技術の素養があったのかもしれません)


余談ですが、当時の新人担当の人事の方はかなりクセの強いおじさんで、
1週間ほどで来なくなった同期(高卒女子)がいました。

今では珍しくないのかもしれませんが、
「え、もう辞めるの!?」と驚いた記憶があります。

私の工場へ配属された同期は30人ほどいましたが、
今でも連絡を取っているのは1人だけです。
配属後はバラバラの部署に散らばるので、
「大手メーカーほど同期との距離は離れやすい」
と思います。


■ 製造実習(7〜9月)― いよいよ現場へ

7月からの3ヶ月は、いよいよ現場へ入る製造実習
約1ヶ月ごとに3つの職場をローテーションしました。


● 1つ目(品質保証部門)

・製品を渡され、バグがないかを確認
・発売済みの製品だったためバグは滅多に出ない
・正直「こんなこともやってるんだ…」という感想
・途中から触るところもなくなり、眠くなってくる

ラインから抜き取った製品の検査なども行い、
品質保証の裏側を知れた貴重な実習でした。


● 2つ目(製造部門①:自動設備のライン)

・指に乗るほどの小型製品を自動設備で大量生産
・チョコ停解除や材料供給などの単純作業を体験
とにかく立ちっぱなしがツラい…

そして何より、
この現場の設備は配属予定の部署が設計した設備でした。
当時の私は、

「こんな複雑な設備、どうやって設計するんだろう……?」

と不安と驚きでいっぱいでした。


● 3つ目(製造部門②:手組みのライン)

・手のひらサイズの製品を人が並んで手組みで生産
・数十秒ごとに製品が流れてきて担当作業を延々と繰り返す
1日中立ちっぱなし+同じ作業の連続で心が折れそうに……

数日だけでも辛かったのに、
この作業を何年も続ける現場の方は本当に大変です。

当時から現場は業務委託がほとんどで、外国人スタッフも多かったのですが、
「ずっと同じ作業を続けて嫌にならないのだろうか」
と純粋に疑問でした。

また、
・不良品の分解 / 修理
・製造トラブル対応
なども経験し、多くの学びがありました。

そしてこの頃、
メモを取らなかったことでめちゃくちゃ怒られたのは今でも覚えています。
今もメモを取るのは苦手ですが、仕事の本質として「記録の重要性」を実感しました。


■ 製造実習で得た最大の学び

この期間で一番大きかった気づきは、

「現場の大変さを身体で理解したこと」

生産技術は、どうしても
「机上だけで考えがちな職種」。
ですが、現場実習を経たことで、

・作業者の苦労
・設備の使いにくさ
・改善すべきポイント

そういった“現場のリアル”を肌で理解できました。

そういえば、当時の工場長も新人の私たちに対して、
「現場を知っている人が一番強い」
と仰っていたのは今でも覚えています。

実習後は、

「作業者が使いやすい設備を設計することの重要性」
を強く意識するようになり、
後のキャリアでもずっと生き続ける“原点”になりました。

✨次回

次回は、配属直後に経験した 加工メーカーでの実習(10〜11月) について。
フライス盤・旋盤・ボール盤などの加工機に触れ、
「設計者としての土台」がどう身についていったのか、当時のリアルを書いていきます。

[次回:新人時代②/加工実習で学んだこと(新人10〜11月)]
▶[前回:生産技術エンジニアになるまでの話/なぜ生産技術になったのか?]

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