【7年目】大量の設備組立と若手が“組織のリアル”を知った1年

生産技術のリアル

▶ 1社目(大手電機メーカー①)キャリア連載(全10回)


①【1年目】新人時代の総集編
②【2年目】主担当として初めて任された業務
③-1【3年目前半】人生初の海外出張と新ライン立ち上げ
③-2【3年目後半】製造/製造技術との衝突と人生を変えた“異動の転機”
④【4年目】初めての自動機設計と師匠との出会い
⑤【5年目】汎用自動機設計で“どんな製品にも転用できる設備”を経験
⑥【6年目】他工場からの設備移管と内製文化の価値に気づいた話
⑦【7年目】50台量産ラインの地獄と組織のリアルを学んだ年← 今ここ
⑧【8年目】上司交代と、転職が頭をよぎった瞬間
⑨【9年目】1秒サイクルの怪物設備と転職を決めた最後の1年
◎【総集編】

■ 6年目のプロジェクト中止から“流れが変わる”

6年目の大きなプロジェクトが中止になってしまってから、
少しずつ 自動機設計の案件が減っていきました。

この頃から工場全体の景気も下降ぎみで、
新しい自動機案件が見つかるまで、私は 他の課の仕事を手伝う ことに。

「設計者としての主役の仕事ではないけど、まずはやるしかない」

そんな複雑な気持ちで7年目が始まりました。


■ 設計サポートの日々と3D CADによる成長

最初に任されたのは 基本図面バラシのサポート業務。
主担当ではなく、裏方ポジションです。

ただ、この時期に 3D CAD を習得したこと が大きかった。

  • 図面化のスピードが一気に上がる
  • 設計の精度も高くなる
  • 部品干渉・構造の理解が深まる

サポートとはいえ、
自分の技術が確実に伸びている実感はありました。

しかし実際は——
「楽だけど、物足りない」
そんな気持ちが心の底にずっと残っていました。


■ 50台量産のための“鋳物部品設計”という貴重な経験

今回の仕事では、
同じ設備を約50台 製作する必要がありました。

そのため、部品コストを抑える目的で
鋳物部品の設計 を取り入れました。

削り出しではなく鋳物という、
量産ならではの設計も経験できたのは
エンジニアとして非常に大きなプラスでした。

ただ、この「50台生産」の本当の地獄はここからでした。


■ “5000回以上のボルト締め”を経験した怒涛の組立作業

部品がそろうと、次は 組立

50台分の設備を組むというのは、
想像以上のボリュームです。

来る日も来る日も、
レンチでボルト締めを続ける毎日。

手にはマメができ、
感覚がなくなるほどの作業量。

後にも先にも、
ここまで同じ作業をやったことはありません。


■ 10人チームの中で起こった“仕事の温度差”

組立は10人ほどのメンバーで担当し、
しっかりスケジュールも作って臨みました。

しかし——

  • テキパキ進める人
  • だらだら作業する人

がハッキリ分かれてしまう。

私は当然しっかり進めていたのですが、
あまりに進捗が遅い人がいて、ついに我慢できず…

当時20代だった私が、50代の人に
「ちゃんとやってください」
と真っ向から言った。

このエピソードは今でも、
先輩たちに「あれはすごかった」と語られています。

性格というか、若さというか、
“黙っていられないタイプ”だったんですよね。


■ 2:6:2の法則を知らずに、リアルで学んだ年

当時は「全員がちゃんと仕事すればいいのに」と本気で思っていました。

しかし後に知る 2:6:2の法則 の通り、
どんな組織でも

  • 上位2割:超優秀
  • 中間6割:普通
  • 下位2割:問題児

になる。

この年は、
“組織は理想どおりにはいかない”
という現実を痛感した年でもあります。


■ 設備調整は淡々と。工場景気に不安を感じ始める

組立が終わると、次は 調整〜立ち上げ。

同じ設備を次々と調整するだけなので、
正直飽きも出てきます。

さらに景気は悪化し続け、
心の中でこう思うようになる。

「この先、自動機の仕事ってちゃんとあるんだろうか…?」

サポートだったため、海外立ち上げには同行せず、
国内試運転だけで7年目の仕事は一区切り。

技術は伸びたが、
未来への不安も感じた1年でした。


■ まとめ:7年目は“量産の地獄と組織のリアル”を学んだ年

  • 自動機の仕事が減りサポート業務に
  • 3D CADで図面化スピードと精度が向上
  • 鋳物設計という量産ならではの経験
  • 50台分の組立で心身ともに限界
  • 年齢関係なく仕事を指摘した若手時代
  • 2:6:2の法則を実体験
  • 景気悪化で将来への不安が芽生える

この年は、
「技術」よりも「人」と「組織」について多くを学んだ1年
だったと感じています。


✨次回

上司交代と転職が頭をよぎった瞬間

▶[次回:8年目|上司交代と、転職が頭をよぎった瞬間]
▶[前回:6年目|汎用自動機を全く違う製品へ展開]

▶ 1社目(大手電機メーカー①)キャリア連載(全10回)


①【1年目】新人時代の総集編
②【2年目】主担当として初めて任された業務
③-1【3年目前半】人生初の海外出張と新ライン立ち上げ
③-2【3年目後半】製造/製造技術との衝突と人生を変えた“異動の転機”
④【4年目】初めての自動機設計と師匠との出会い
⑤【5年目】汎用自動機設計で“どんな製品にも転用できる設備”を経験
⑥【6年目】他工場からの設備移管と内製文化の価値に気づいた話
⑦【7年目】50台量産ラインの地獄と組織のリアルを学んだ年← 今ここ
⑧【8年目】上司交代と、転職が頭をよぎった瞬間
⑨【9年目】1秒サイクルの怪物設備と転職を決めた最後の1年
◎【総集編】

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