「年収を上げたい」 「もっと評価される会社に行きたい」
そう思って転職活動を始める人は多いですし、かつての私もそうでした。
私はこれまでに3回の転職を経験し(すべて1社単願で内定)、20代の頃の年収450万円から、40代の現在では約800万円まで年収を上げることに成功しました。
では、年収が倍近くになった今、幸福度も倍になったのか?
結論から言うと、「そうとも言い切れない」というのが正直な感想です。むしろ、仕事の楽しさだけで言えば、年収が一番低かった1社目がピークだったかもしれません。
今回は、年収アップの裏にある「責任」と「ストレス」、そして「お金よりも大切な環境選び」について、私の実体験を包み隠さずお話しします。
年収推移と幸福度のギャップ(私の履歴書)
まずは、私のこれまでの年収と仕事環境の推移をご覧ください。
- 20代(1社目):年収450万円
- 大手電機メーカー子会社
- 残業が多い年でも500万届かず。将来に不安あり。
- 幸福度:★★★★★(最高)
- 30代前半(2社目):年収700〜750万円
- 1回目の転職で年収1.5倍増。大手メーカーへ。
- 幸福度:★★★☆☆
- 30代後半〜現在(3社目・4社目):年収750〜800万円
- 責任重大。調整業務多発。
- 幸福度:★★☆☆☆(ストレス増)
数字だけ見れば順風満帆なキャリアアップです。しかし、心の中では常に「あの頃は楽しかったな」という思いが消えません。
なぜ、年収が上がっても幸福度は下がるのでしょうか?

年収450万時代が「最高に幸せ」だった理由
私が新卒で入社した1社目は、給料は安いし、会社の先行きも不透明でした。 しかし、そこには「お金」に変えられない充実感がありました。
1. 「調整」ではなく「純粋なエンジニアリング」ができた
その会社は設備を完全内製していました。 担当者レベルでの面倒な調整業務は不要。会議もほとんどなく、朝から晩まで「どうすれば良い設備になるか?」を考え、図面を引き、手を動かすことに没頭できました。
今の仕事は、規模が大きい分、関係各所への根回しや調整、会議ばかりです。「ものづくり」をしている感覚は、あの頃が一番強かったです。
2. 人間関係にストレスが皆無だった
これが最大の要因かもしれません。 同年代にライバルがおらず、ギスギスした競争もありませんでした。職場の居心地が良く、大型連休が明けると「早く会社に行って同僚と話したい」とすら思っていました。
今、「サザエさん症候群(日曜の夜が憂鬱)」になっている人からすれば、信じられない感覚ではないでしょうか?
年収800万のリアル。「責任」は給料以上に重くなる
転職して年収が上がるということは、会社から「より高い成果」と「重い責任」を求められるということです。
生産性を感じない「調整業務」の泥沼
2社目以降、会社の規模が大きくなるにつれて、実務以外の仕事が激増しました。 技術的な課題解決よりも、社内政治や予算管理、スケジュールの調整に追われる日々。
「俺、エンジニアなのに何やってるんだろう…」 ふと、そんな虚無感に襲われることがあります。
上司ガチャとプレッシャー
年収が高いポジションで入社すると、周囲からの目も厳しくなります。「これくらい出来て当然」というプレッシャーの中、運悪く相性の悪い上司に当たってしまった時は地獄です(これは完全にガチャですが)。
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「年収アップ」=「生活レベルアップ」ではない
「でも、お金があればプライベートは充実するでしょ?」 そう思うかもしれません。
しかし、年収が上がれば税金も増えますし、不思議なもので生活コストも徐々に上がっていきます。 家賃が少し高いところに住んだり、付き合いが増えたり。結果として、「生活が豊かになった実感」は、年収の伸び幅ほど感じません。
ストレス発散のために散財してしまえば、手元に残るお金は以前と変わらない…なんてこともあり得ます。
結論:年収だけで転職先を選ぶと後悔する
誤解しないでいただきたいのは、私はこれまでの3回の転職を後悔しているわけではありません。キャリアアップによって選択肢は広がりましたし、技術者としての幅も広がりました。
しかし、もしあなたが「今の職場は人間関係も良いし仕事も楽しいけど、給料だけが不満」という理由で転職を考えているなら、少し立ち止まってみてください。
「心のバランスが取れる職場」は、年収数百万の差よりも価値があるかもしれません。 体を壊したり、月曜日が来るのが怖くなるような毎日は、いくらお金をもらっても割に合いません。
「自分が望む環境」を手に入れるための転職戦略
これから転職を考えるなら、「年収」という数字だけでなく、「自分がどんな環境で働きたいか」を最優先にしてください。
- 純粋に技術に没頭したいのか?
- マネジメントをやりたいのか?
- 和気藹々としたチームで働きたいのか?
こればかりは、求人票の「年収欄」を見ても分かりません。
私は3回の転職を通して学びましたが、企業の「内情」や「風土」を知らずに応募するのはギャンブルです。
転職エージェントへ「実際の現場の雰囲気」や「離職率」、「求められる役割(調整寄りか、技術寄りか)」確認することが大切です。
特に大手メーカーを狙うなら、表面的な条件だけでなく「中の人」の情報を握っているエージェントを味方につけることが、入社後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ唯一の方法です。
「お金」は大事ですが、「あなたの時間と心」はもっと大事です。 後悔しない選択をするために、まずは情報の解像度を上げるところから始めてみてください。
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