生産技術のキャリアで一番もったいないのは、
気づいたら「設備調達の調整屋」になっていることです。
実はこれ、本人の能力というよりキャリアの順番でほぼ決まります。
結論から言うと、伸びるのは 「内製 → 外製」 の順で経験を積んだ人です。
私は1社目の20代を完全内製の職場で過ごし、
30代以降、2社目外製、3社目外製+内製、4社目外製というキャリアを歩んでいます。
意識的にこのようなキャリアになったわけではありませんが、
結果的にいいキャリアを歩めていると思いますので、
若手エンジニアの方や若手を育成する方の参考になれば幸いです。
👉 私のキャリアはこちら(4社目は現職のため退職後に記事にする予定)
◎【1社目総集編】完全内製の組織で生産技術の基盤を作った20代
◎【2社目総集編】試作・量産設備・働き方・価値観の整理と2回目の転職の決断
◎【3社目総集編】 5年間で経験した“最大規模の仕事”と、キャリアの転機になった期間
■生産技術のおすすめキャリアは「内製→外製」
生産技術の仕事は、設備の構想・設計・立ち上げ・量産安定化まで幅広い一方で、
会社や部署によって「内製」か「外製」かが大きく違います。
そしてこの違いが、20代〜30代の成長速度と市場価値を左右します。
- 内製:自分で構想し、設計し、組み立てて、立ち上げる
- 外製:設備メーカーへ依頼し、仕様決め・見積・納期・品質を握る
どちらも重要ですが、順番を間違えると一気に詰みます。
■いきなり外製から入ると技術が身につかない
外製が中心の現場で若手が最初に覚えるのは、たいていこれです。
- メーカーへの依頼の出し方
- 社内稟議・決裁の通し方
- 進捗管理・納期管理
- 価格交渉(の雰囲気)
もちろん必要なスキルです。
でも、“技術の芯”がない状態で外製だけをやると、議論ができません。
具体的には、
- 「この構造はなぜ必要か?」
- 「この精度はどこで決まるか?」
- 「この設計にはどのくらい時間がかかるか?」
- 「この構造にするにはどのくらいコストがかかるか?」
このあたりが分からないまま、納期と金額だけを押す人になります。
結果、設備メーカー側から見ると “話の通じない客先” になってしまうんです。
■ずっと外製だと「設備調達屋」になり、メーカーから信頼されない
外製を長くやっているのに、なぜか評価が頭打ちの人がいます。
共通点は「技術的な会話ができない」こと。
設備メーカー側からすると、信頼できる客先担当はこういう人です。
- 仕様の優先順位が付けられる
- どこがリスクか見抜ける
- 工数・コスト感の“相場観”がある
- こちらの苦労や作り方を理解している
■ メーカーが本音で嫌う生産技術の特徴(実話)
逆に、嫌われるのはこうです。
- 価格と納期しか言わない
- 仕様追加が多いのに「同じ納期で」
- 技術議論ができず、判断が遅い
- 立場(大手)だけで偉そう
メーカーがペコペコするのは「あなた個人」ではなく、会社の看板です。
勘違いすると伸びが止まります。
■ずっと内製でも「成果が1人分」で頭打ちになる
じゃあ内製だけが正解かというと、これも違います。
内製は確かに技術が身につきます。
ただ、内製だけだと成果のスケールが基本的にこうなりがちです。
- 自分が設計できる範囲=成果の上限
- 設備投資の金額が大きい現場ほど、全部内製は現実的に無理
- 組織としての成果(複数ライン・複数拠点)に広げにくい
つまり、ずっと内製だと「職人」にはなれるけど、
30代以降に “大きい成果” を出しづらい。
だからこそ、順番が大事です。
■なぜ「内製→外製」が最強なのか(結論)
内製で得られる最大の価値は、スキルそのもの以上に相場観です。
- これにいくら必要か
- どれくらいの期間がかかるか
- どこで失敗しやすいか
- どこを詰めれば品質が上がるか
- どこは手を抜けるか(優先順位)
これは、実際に
設計→組立→立ち上げ を通して「自分の設計の反省点」を踏んだ人にしか身につきません。
そしてその相場観を持った人が外製側に回ると、強い。
- メーカーと“同じ言語”で議論できる
- 仕様の落としどころが早い
- 無理な要求をしない(結果、協力してもらえる)
- 価格交渉も「根拠」がある
だから、設備メーカーから「助かります」と言われる人になれます。
ここまで来ると、生産技術としての市場価値は一段上がります。
■でも大手で内製経験を積むのは難しい(現実)
しかし私の実体験では、大手ほど内製は難しいです。
- 1人あたりの扱う金額が大きく、全部自分でやる時間がない
- リードタイム短縮の圧が強く、メーカー活用が前提
- 内製できるのは一部メンバーだけ…という会社も多い
結果、内製経験者が少なくなり、
会社の生産技術にも設備メーカー側にも主力が50〜60代に偏り、若手が不足していく。
だからこそ逆に、20代で内製経験を積めた人は貴重です。
将来的に「技術も分かる外製担当」になれるからです。
■20代のうちに内製環境を引けるかで将来が決まる
厳しい言い方をすると、生産技術は20代で差がつきます。
- 年齢を重ねるほど新しい挑戦はしづらい
- 失敗が許されにくくなる
- 現場の期待値が上がり、学習時間が取りにくい
だから、怖いもの知らずで手を動かせる20代で、
内製で実務経験を“密度高く”積むのが最短ルートです。
■就職・転職で「内製があるか」を見抜くチェック項目
求人票だけだと内製は分かりにくいので、面接で確認するのがおすすめです。
質問例
- 「設備の構想〜立ち上げまで、内製で担当できる範囲はありますか?」
- 「設備設計ができる生産技術の方は社内にいますか?」
- 「若手が手を動かして設計・立ち上げを学べる環境はありますか?」
- 「設備メーカー依頼が中心の場合、若手はどうやって技術を学びますか?」
ここで回答が曖昧なら、「外製オンリーで調整屋化する可能性」は高いです。
私の経験上、有名企業でも意外と技術力の低い生産技術は多いです。
■面接で刺さる“生産技術キャリア”の伝え方(テンプレ)
まともな面接官なら、こう言える人を評価します。
「若いうちは内製で実務経験を積み、30代以降は外製も活用してより大きな成果を出せる生産技術になりたいです」
ポイントは、内製・外製のどちらかを否定しないこと。
順番と目的(成果のスケール)を語れると強いです。
■まとめ:生産技術は「内製→外製」で市場価値が跳ねる
最後に要点だけ整理します。
- いきなり外製から入ると、技術が身につかず調整屋化しやすい
- ずっと外製だと、メーカーから信頼されず伸びが止まる
- ずっと内製でも、成果が1人分で頭打ちになりやすい
- 最強ルートは 内製で相場観→外製で成果をスケール
- 20代の内製経験は希少性が高く、30代以降の武器になる

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